先行研究では、介護予防事業に参加することにより、要介護への移行を約1/2に抑制できることが示唆されている(M Yamada,et al,2016)。それでも要介護認定者は増加し続けている理由を山田(2016)は、参加しない高齢者が多いことを指摘している。そのため、地域の実情に応じた効果的・効率的な介護予防事業を推進する必要がある。
特に、介入内容(プロセス)と組織体制(ストラクチャー)は成果(アウトカム)をあげるための手段に位置づけ、介入内容や組織体制と成果の関連を評価することが重要である。しかし現在は、成果・介入内容・組織体制の位置づけが不明瞭であるため、関連性も見えない。近年、成果と介入内容・組織体制の関連を評価する方法として、プログラム評価が注目されている。
プログラム評価とは、政策、事業、プロジェクトなど一連の活動群である“プログラム”を対象に、介入内容・組織体制から成果までの対象者の改善・変化(以下、インパクト理論)や介入内容の順序性(以下、プロセス理論)を理論的・体系的に構築した評価方法である。これにより介入内容と成果の関連性を評価し、見直すべき介入内容が明瞭になる。プログラム評価は現在、国際支援活動や地域精神保健福祉の分野等で導入され成果が報告されているが、地域看護学分野では導入方法が確立していない。
研究者らはこれまで、「閉じこもり高リスク者に早期介入する、地域サロンと訪問支援の統合化プログラムの開発」(2015~2019年度,JSPS科研費、基盤研究(C))において、高齢者の閉じこもり高リスク者への支援として「訪問支援と地域サロンの統合化プログラム(暫定版)」を、住民を含む参加型評価の手法を用いて開発した。結果、「手段の目的化」を回避したプログラムとなった。課題としては、評価理論に対する客観的検証、評価方法や評価体制の未整備、評価理論の有用性の検討が挙げられた(下園,2018)。
そこで今回「プログラム評価理論に基づく、介護予防プログラムの評価理論及び評価体制の構築」(2019~2022年度,JSPS科研費、基盤研究(C))として、これまで開発した「訪問支援と地域サロンの統合化プログラム」の評価理論の精緻化を行うことを目的に量的調査を行った。
本報告書では、特に閉じこもり高齢者に対する支援の在り方に関わる部分として、地域包括支援センターが対応している閉じこもり高齢者の実態と対応を明らかにするために、全国の地域包括支援センターに悉皆調査を実施した結果を報告する。基礎資料として、多くの関係の皆さまの参考になれば幸いである。
研究代表者 下園 美保子
(大和大学保健医療学部看護学科)
調査要領
大和大学保健医療学部 | 教授 | 下園美保子 |
---|---|---|
川崎医療福祉大学 医療福祉学部 |
講師 | 大山早紀子 |
愛知県立大学看護学部 | 助教 | 加藤宏公 |
日本社会事業大学 社会福祉学部 |
講師 | 新藤健太 |
健康科学大学看護学部 | 教授 | 望月宗一郎 |
健康科学大学看護学部 | 講師 | 渡邉美樹 |
愛知県立大学看護学部 | 教授 | 小林敏生 |
東北福祉大学 総合福祉学部 |
教授 | 大嶋巌 |
須田医院精神科 | 医長 | 益田大輔 |
地域包括支援センター あおぞら |
保健師 | 大関紗依 |
奈良県下市町役場 | 保健師 | 上中久美子 |
回答者属性
地域 | 回答数 | 回答数に対する割合 | 発送数 | 発送数に対する割合 |
---|---|---|---|---|
1) 北海道・東北 | 37 | 19.6% | 815 | 4.5% |
2) 関東 | 43 | 22.8% | 1598 | 2.7% |
3) 北陸・中部・近畿 | 73 | 38.6% | 1779 | 4.1% |
4) 中国・四国 | 16 | 8.5% | 417 | 3.8% |
5) 九州・沖縄 | 20 | 10.6% | 661 | 3.0% |
未回答 | 107 | |||
未回答を除く合計 | 189 | 100% |
中部・近畿地方の回答数が最も多い
2000年~2004年 | 3 |
---|---|
2005年~2009年 | 88 |
2010年~2014年 | 17 |
2015年~2019年 | 36 |
2020年~2023年 | 15 |
未回答 | 137 |
未回答を除く合計 | 159 |
2005年~2009年に開設されたセンターが半分以上
基幹型地域包括支援センター 担当圏域あり |
18 |
---|---|
基幹型地域包括支援センター 担当圏域なし |
4 |
地域包括支援センター | 261 |
未回答 | 13 |
未回答を除く合計 | 283 |
9割以上地域包括支援センター
担当圏域が1万人までの施設が全体の7割以上
担当圏域の高齢化率25%~34%の施設が5割以上
保健師(看護師) | 171 |
---|---|
社会福祉士 | 32 |
主任ケアマネ | 50 |
その他 | 29 |
未回答 | 14 |
未回答を除く合計 | 282 |
6割が保健師
2022年10月1日の閉じこもり高齢者全数 (単位:人) |
2021年4月~2022年3月末日迄、閉じこもり高齢者数新規把握人数(単位:人) | 施設数 |
---|---|---|
0 | 0 | 2 |
1 | 1 | 1 |
3 | 未回答 | 1 |
3 | 4 | 1 |
5 | 1 | 1 |
5 | 2 | 1 |
5 | 1 | 1 |
6 | 4 | 1 |
7 | 0 | 1 |
10 | 10 | 1 |
10 | 未回答 | 1 |
12 | 2 | 1 |
15 | 14 | 1 |
17 | 不明 | 1 |
20 | 23 | 1 |
44 | 15 | 1 |
100 | 30 | 1 |
1,000 | 未回答 | 1 |
3,000 | 100 | 1 |
10,000 | 1,200 | 1 |
不明 | 0 | 2 |
不明 | 1 | 1 |
未回答 | 2 | 1 |
未回答 | 3 | 1 |
未回答 | 15 | 2 |
未回答 | 20 | 1 |
不明 | 30 | 1 |
閉じこもり高齢者数を把握している施設は30箇所
A. 【基盤】支援の理念・方向性の共有及び権利擁護
【本領域の目的】
予防活動を効果的に推進するためには、対象者を尊重する姿勢と、関係機関と連携することは必要不可欠である。
そのため、A領域では、対象者等の権利を守る支援姿勢と連携機関との連携体制という、それぞれの環境整備の状況を伺うことを目的とする。
A1. 地域の高齢者に対する、支援における理念と方向性の明確化と共有及び権利擁護
【目的・意図】
A1は、保健・医療・福祉・介護・行政担当課・地域資源などの各分野、及びそれ以外の生活に影響する領域すべてが、『町内在住の高齢者が最後まで地域とつながりを持ちながら生活を送ること』を目指すことが明確に示され、共有され、その為に必要な対象者等の権利が守られているかに関する質問群である。
はい | 277 |
---|---|
いいえ | 1 |
わからない・どちらともいえない | 17 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
A1-1は、支援の方向性を掲げている「はい」が9割以上
はい | 245 |
---|---|
いいえ | 5 |
わからない・どちらともいえない | 45 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
A1-2は、「本人・家族のセルフケア能力の向上」が重要視されているとの回答が8割
はい | 228 |
---|---|
いいえ | 5 |
わからない・どちらともいえない | 63 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
A1-3は、支援者全員の意識が重要であるとの回答が77%
はい | 240 |
---|---|
いいえ | 8 |
わからない・どちらともいえない | 45 |
未回答 | 3 |
未回答を除く合計 | 293 |
A1-4は、権利擁護の視点から支援が必要な場合、包括に連絡があるとの回答が81.9%
はい | 215 |
---|---|
いいえ | 37 |
わからない・どちらともいえない | 44 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
A1-5は、高齢者虐待防止ネットワークを基盤とした連携・協力体制が整備されているとの回答が72.6%
A2. 個別支援が必要なケースに対する支援のマネジメント
【目的・意図】
困難を抱えているケースには、関連機関と連携しながら支援を進める必要がある。支援が困難な場合は特に、ケースマネジメントの必要性は高まる。A2はこうしたケースに対する効果的なマネジメントについて伺う質問群である。
はい | 187 |
---|---|
いいえ | 71 |
わからない・どちらともいえない | 38 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
A2-1は、個別支援が必要なケースが共有されてないとの回答が4割弱
はい | 235 |
---|---|
いいえ | 30 |
わからない・どちらともいえない | 30 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
A2-2は、個別支援を行っているケースについて会議が持たれているとの回答が8割弱
はい | 159 |
---|---|
いいえ | 21 |
わからない・どちらともいえない | 115 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
A2-3は、マネジメント担当者が集団支援活動に参加する意義と目的を、対象者と共有しているとの回答が5割強
はい | 153 |
---|---|
いいえ | 28 |
わからない・どちらともいえない | 113 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
A2-4は、集団支援活動を実施する支援者全員が、その意義と目的を共有しているとの回答が5割強
はい | 191 |
---|---|
いいえ | 8 |
わからない・どちらともいえない | 97 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
A2-5は、権利擁護サービスの受益者自身にその決定権があるとの回答が64.5%
A領域(基盤):8割の施設は支援姿勢を共有。ケース把握の体制整備は課題。
本人・家族のセルフケア能力の向上を目標に、支えるという姿勢を関係機関で共有されている機関が8割程度で、これは個別ケースへの支援で活かされていることが伺えた。しかし、該当地域に支援が必要な高齢者がどれぐらいいるのかといった地域全体での支援者把握(A2-1)や、本人が地域社会に受け入れられるための支援(A2-4)までは、整備が困難な施設が半数程あった。
B. 【基盤】サービス提供組織及び連携と評価体制
【本領域の目的】
予防活動を効果的に推進するためには、無理なく継続的に支援する組織体制と、支援内容を評価しPDCAサイクルを展開する評価体制が必要である。
本領域では、そうした組織体制と評価体制の状況を伺うことを目的とする。
B1. 組織体制、組織構造、各組織の役割の検討と共有・組織風土、リスクマネジメント
【目的・意図】
継続支援を無理なく遂行するためには、「組織体制」、「組織構造」、「各組織の役割と共有」、「組織風土」、「リスクマネジメント」等の組織体制を整える必要がある。
また整備した体制を包括スタッフとも情報共有し、支援の在り方を一緒に検討することは、効果的な活動につながる。
B1では、この5つの組織体制の共有状況や検討できる環境について伺うことを目的とする。
はい | 198 |
---|---|
いいえ | 15 |
わからない・どちらともいえない | 83 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
B1-1は、組織体制の全体像を、包括スタッフ全員が把握しているとの回答が67%弱
はい | 177 |
---|---|
いいえ | 19 |
わからない・どちらともいえない | 98 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
B1-2は、組織構造の全体像を、包括スタッフ全員が把握しているとの回答が60%強
はい | 202 |
---|---|
いいえ | 19 |
わからない・どちらともいえない | 74 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
B1-3は、担当者の役割を、包括スタッフ全員が把握しているとの回答が68.5%
はい | 187 |
---|---|
いいえ | 16 |
わからない・どちらともいえない | 92 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
B1-4は、外部の関係機関とその役割について、支援者全員に周知しているとの回答が63%強
はい | 229 |
---|---|
いいえ | 12 |
わからない・どちらともいえない | 53 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
B1-5は、風通しの良い組織風土であるとの回答が78%弱
はい | 176 |
---|---|
いいえ | 15 |
わからない・どちらともいえない | 105 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
B1-6は、組織的に活動する上で、重大な影響を及ぼす可能性を把握しているとの回答が6割弱
B2. 権利擁護・技術向上・情報連携・評価体制・リーダーシップ・予算(システム)
【目的・意図】
継続支援を無理なく遂行するためには、組織システムに位置付けられる「権利擁護」、「支援技術の向上」、「関係機関との情報連携」、「個別ケース支援に対する評価」、「管理職のリーダーシップ」、「人件費等の予算の確保」の6つの要素を整備することが求められる。
B2では、この6つの整備状況について伺うことを目的とする。
はい | 262 |
---|---|
いいえ | 9 |
わからない・どちらともいえない | 25 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
B2-1は、スタッフに権利擁護についての教育環境を整えているとの回答が88.5%
はい | 194 |
---|---|
いいえ | 27 |
わからない・どちらともいえない | 75 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
B2-2は、組織の強み弱みをスタッフ間で共有できているとの回答が65.5%
はい | 260 |
---|---|
いいえ | 7 |
わからない・どちらともいえない | 28 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
B2-3は、外部関係機関との共有、対策する体制ができているとの回答が88%以上
はい | 213 |
---|---|
いいえ | 19 |
わからない・どちらともいえない | 64 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
B2-4は、個別ケースの解決に向けた活動ができているとの回答が72%
はい | 221 |
---|---|
いいえ | 19 |
わからない・どちらともいえない | 52 |
未回答 | 4 |
未回答を除く合計 | 292 |
B2-5は、個別ケースの解決に向けた活動を評価する体制ができているとの回答が75%以上
はい | 14 |
---|---|
いいえ | 163 |
わからない・どちらともいえない | 119 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
B2-6は、閉じこもり人数を把握していると回答したのは5%以下
はい | 148 |
---|---|
いいえ | 77 |
わからない・どちらともいえない | 70 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
B2-7は、個別ケースの解決に向けて報告、議論検討する体制にあるとの回答が5割強
はい | 197 |
---|---|
いいえ | 55 |
わからない・どちらともいえない | 44 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
B2-8は、組織内の各部署との連絡会議が年1回以上定期的に行われているとの回答が66.6%
はい | 186 |
---|---|
いいえ | 41 |
わからない・どちらともいえない | 69 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
B2-9は、専門性を高めるために外部の意見を取り入れているとの回答が62.8%
はい | 160 |
---|---|
いいえ | 47 |
わからない・どちらともいえない | 88 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
B2-10は、包括の管理職が閉じこもり予防実現のための対話を行っているとの回答が54.2%
はい | 168 |
---|---|
いいえ | 37 |
わからない・どちらともいえない | 91 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
B2-11は、包括の管理職が組織の方向性をスタッフに示しているとの回答が56.8%
はい | 147 |
---|---|
いいえ | 53 |
わからない・どちらともいえない | 95 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
B2-12は、支援活動に必要な予算が確保されているとの回答が5割弱
B3. 地域資源の開発・地域ボランティア育成支援活動
【目的・意図】
高齢者の閉じこもりは地域の健康課題であり、地域と連携しながら進めることが大切である。
その地域で資源を開発したり、地域ボランティアなどの人材育成を行うことで、効果的な予防活動を推進できると考える。
これらからB3は、地域資源の開発や地域ボランティア育成及び支援について伺うことを目的とする。
はい | 160 |
---|---|
いいえ | 62 |
わからない・どちらともいえない | 74 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
B3-1は、地域に必要な社会資源の企画・開発を行っているとの回答が54.1%
はい | 137 |
---|---|
いいえ | 96 |
わからない・どちらともいえない | 63 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
B3-2は、支援ボランティアを養成する環境を整えているとの回答は5割をきる
はい | 31 |
---|---|
いいえ | 138 |
わからない・どちらともいえない | 126 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
B3-3は、支援ボランティアに正当な報酬を支払っていると回答したのは10%強のみ
はい | 170 |
---|---|
いいえ | 37 |
わからない・どちらともいえない | 88 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
B3-4は、支援ボランティアとの協力し合えていると回答したのは57.6%
はい | 78 |
---|---|
いいえ | 45 |
わからない・どちらともいえない | 170 |
未回答 | 3 |
未回答を除く合計 | 293 |
B3-5は、支援ボランティアが対象者の個人情報に関与しない体制ができているとの回答が26.6%
はい | 154 |
---|---|
いいえ | 39 |
わからない・どちらともいえない | 101 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
B3-6は、支援ボランティアが要支援者との良い関係を構築できるよう支援しているとの回答が52.4%
はい | 83 |
---|---|
いいえ | 105 |
わからない・どちらともいえない | 106 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
B3-7は、支援ボランティア同士が悩みなどを語り合う場所を設定しているとの回答が28%強
B4. 包括スタッフの確保及び育成(人材)
【目的・意図】
B4は、予防活動を現場で実施する包括スタッフの確保及び育成に関する質問群である。
はい | 104 |
---|---|
いいえ | 55 |
わからない・どちらともいえない | 136 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
B4-1は、支援者の理想的な人材像が明らかになっているとの回答が35.3%
はい | 122 |
---|---|
いいえ | 66 |
わからない・どちらともいえない | 108 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
B4-2は、包括スタッフ育成の方向性が共有されているとの回答が41.2%
はい | 139 |
---|---|
いいえ | 40 |
わからない・どちらともいえない | 117 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
B4-3は、包括スタッフとして多様な人達を受け入れる体制ができているとの回答が47%
はい | 170 |
---|---|
いいえ | 22 |
わからない・どちらともいえない | 103 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
B4-4は、包括スタッフ自身が働きやすい環境を整備しているとの回答が57.6%
はい | 192 |
---|---|
いいえ | 20 |
わからない・どちらともいえない | 82 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
B4-5は、包括スタッフ一人ひとりを組織がサポートしているとの回答が65.3%
はい | 155 |
---|---|
いいえ | 20 |
わからない・どちらともいえない | 119 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
B4-6は、包括スタッフの定着率を高めているとの回答が52.7%
はい | 121 |
---|---|
いいえ | 64 |
わからない・どちらともいえない | 110 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
B4-7は、人材育成に向けた取り組みが行われているとの回答が41%
B領域(基盤):個別支援体制は概ね整備。支援者への教育・支援は今後検討。
組織のメンバー構成や役割分担などを共有している施設は約6割、支援時に情報共有など支援を実施する実働体制が整っている施設は約7割、支援ボランティアの利活用は5割強ほどで、個別支援を行う実働体制は概ね整っていた。しかし、地域全体で支援が必要な高齢者を把握し報告する体制(B2-6)や、ボランティアや包括スタッフなど実働する支援者への継続的活動を下支えする体制(B3領域、B4領域)は整備が困難な状況であった。
C. 【基盤】支え合う地域への醸成へ。地域住民と協働で作り上げる地域づくり
【本領域の目的】
本領域は、地域の健康課題である高齢者の閉じこもり予防において、包括と地域住民との関わり、住民同士の関わり方、ケースの捉え方、地域で支えるということや見守り体制等などの現状を伺うことを目的とする。
C1. 地域住民への情報提供、検討の場、見守り体制
【目的・意図】
C1は、地域づくりの一環として、地域住民への情報提供や、地域の健康課題を検討する場の設定、無理なく継続できる見守りの体制に関する質問群である。
はい | 203 |
---|---|
いいえ | 5 |
わからない・どちらともいえない | 88 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
C1-1は、地域住民が包括の介護予防活動を知っているとの回答が68.6%
はい | 180 |
---|---|
いいえ | 43 |
わからない・どちらともいえない | 71 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
C1-2は、地域住民との対話の場があるとの回答が61.2%
はい | 162 |
---|---|
いいえ | 30 |
わからない・どちらともいえない | 103 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
C1-3は、地域全体で見守る仕組みがあるとの回答が54.9%
はい | 52 |
---|---|
いいえ | 116 |
わからない・どちらともいえない | 125 |
未回答 | 3 |
未回答を除く合計 | 293 |
C1-4は、閉じこもり解決後、継続的にモニタリングする仕組みがあるとの回答が17.7%
はい | 111 |
---|---|
いいえ | 26 |
わからない・どちらともいえない | 156 |
未回答 | 3 |
未回答を除く合計 | 293 |
C1-5は、地域全体で近所を見守り共に支え合う地域が重要で有ることを確認し共有しているとの回答が37.9%
はい | 152 |
---|---|
いいえ | 19 |
わからない・どちらともいえない | 125 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
C1-6は、「周囲が対応に困る人は、支援が必要な困っている人」であると捉えているとの回答が51.4%
はい | 185 |
---|---|
いいえ | 43 |
わからない・どちらともいえない | 66 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
C1-7は、地域で支え合うことについて住民対象に研究や健康教育を行っているとの回答が62.9%
はい | 96 |
---|---|
いいえ | 55 |
わからない・どちらともいえない | 145 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
C1-8は、様々な会合に多くの住民が参加できるよう工夫をしているとの回答が32.4%
はい | 160 |
---|---|
いいえ | 8 |
わからない・どちらともいえない | 128 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
C1-9は、日中独居の人を気にかけ声をかけているとの回答が54.1%
C領域(基盤):相談窓口一元化としての包括は概ね周知。地域住民との地域づくりのあり方は今後検討。
地域の高齢者に関する健康課題解決の窓口が包括であることは7割近くの地域で周知が進んでいた。しかし、地域の課題を地域住民と共に関わり対応するために必要な、地域住民が見守りという役割があることの確認やその方法、報告手順、関わり方を学ぶ場などを整えることは、今後検討が必要な状況であった。
D. 【活動】地域及び関係機関との有機的な連携を基盤とした、ケースの把握と支援体制の整備
【本領域の目的】
本領域は、閉じこもり状態にある高齢者を把握し、速やかに支援につなげるための支援体制について、現状を伺うことを目的とする。
D1. ケース把握に必要な知識や情報の周知
【目的・意図】
D1は、閉じこもり状態にあるケースとなる高齢者を、どのように把握し、どのように包括に情報を提供しているか、その一連の活動に関する質問群である。
はい | 65 |
---|---|
いいえ | 82 |
わからない・どちらともいえない | 147 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
D1-1は、ケースとして気にかけるべき状態とする基準が支援者及び地域住民間で共有されているとの回答が22.1%
はい | 91 |
---|---|
いいえ | 116 |
わからない・どちらともいえない | 88 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
D1-2は、ケースとして気にかけるべき人の状態に関する勉強会があるとの回答が30.8%
はい | 176 |
---|---|
いいえ | 21 |
わからない・どちらともいえない | 99 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
D1-3は、ケースを把握したら包括に報告することが周知されているとの回答が59.5%
はい | 176 |
---|---|
いいえ | 8 |
わからない・どちらともいえない | 111 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 294 |
D1-4は、ケースを把握した者が包括に相談する上で心理的障壁がなく連絡しやすい状況にあるとの回答が59.7%
はい | 244 |
---|---|
いいえ | 4 |
わからない・どちらともいえない | 48 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
D1-5は、サービス利用について相談された機関は随時包括と情報共有できる体制にあるとの回答が82.4%
D2. 個別支援が必要なケースに関する支援体制
【目的・意図】
D2は、閉じこもり状態にあるケースを把握したら、すぐにコアとなる関係機関と連携し、支援体制を整えるという、一連の活動に関する質問群である。
はい | 159 |
---|---|
いいえ | 46 |
わからない・どちらともいえない | 89 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
D2-1は、包括の担当者にケースの情報が一元化されているとの回答が54.1%
はい | 188 |
---|---|
いいえ | 39 |
わからない・どちらともいえない | 67 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
D2-2は、作成された支援計画をコアとなる関連機関と共有し支援内容を検討する場合があるとの回答が63.9%
はい | 197 |
---|---|
いいえ | 30 |
わからない・どちらともいえない | 69 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
D2-3は、作成された支援計画に基づいてサービス提供をする体制があるとの回答が66.6%
はい | 193 |
---|---|
いいえ | 33 |
わからない・どちらともいえない | 69 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
D2-4は、支援計画に基づいたサービス提供のモニタリングが定期的に実施されているとの回答が65.4%
はい | 240 |
---|---|
いいえ | 17 |
わからない・どちらともいえない | 37 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
D2-5は、訪問支援などの外出先で判断がつきかねる場合に適時相談できる体制があるとの回答が81.6%
はい | 250 |
---|---|
いいえ | 12 |
わからない・どちらともいえない | 34 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
D2-6は、必要に応じてカンファレンスに家族が参加できる体制があるとの回答が84.5%
はい | 262 |
---|---|
いいえ | 8 |
わからない・どちらともいえない | 25 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
D2-7は、包括担当者と関係機関が顔合わせできる場があるとの回答が88.8%
はい | 206 |
---|---|
いいえ | 20 |
わからない・どちらともいえない | 70 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
D2-8は、包括担当者は関係機関等からの情報提供により適時支援計画を見直し修正できる体制にあるとの回答が69.6%
はい | 124 |
---|---|
いいえ | 56 |
わからない・どちらともいえない | 115 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
D2-9は、セルフ・ネグレクト状態で生命の危機が考慮される場合は家族等に関する情報収集する環境が整っているとの回答が42%
D領域(活動):把握したケースの支援体制は概ね整備。ケース把握、包括内情報共有、家族ケアは今後検討。
地域で把握されたケースについて共有する情報連携は6~8割程度整っていた。しかし、把握すべきケースの基準や、包括内での情報共有、家族ケアの視点に立った情報収集については、今後検討が必要な状況であった。
E. 【活動】ケースへの丁寧な支援展開
【本領域の目的】
本領域は、閉じこもり状態にある高齢者は、自分以外の外部に対して不信感を持っている可能性が高いため、初動では細やかに対応する必要がある。
そのためケースに丁寧に関わるための支援体制の結成や支援技術の習得などに関して、現状を伺うことを目的とする。
E1. ケースへの支援チーム結成と支援の実施
【目的・意図】
E1は、閉じこもり状態にあるケースを把握したら、すぐにコアとなる関係機関と連携し、支援体制を整え、初動の支援活動を行うという、一連の活動に関する質問群である。
はい | 175 |
---|---|
いいえ | 36 |
わからない・どちらともいえない | 83 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
E1-1は、コアとなる関係機関との支援体制が整えられているとの回答が59.5%
はい | 180 |
---|---|
いいえ | 41 |
わからない・どちらともいえない | 74 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
E1-2は、支援に必要なメンバーを、コアメンバー内で検討し選定しているとの回答が61%
はい | 169 |
---|---|
いいえ | 45 |
わからない・どちらともいえない | 81 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
E1-3は、ケースごとに支援チームが結成されているとの回答が57.3%
はい | 225 |
---|---|
いいえ | 15 |
わからない・どちらともいえない | 52 |
未回答 | 4 |
未回答を除く合計 | 292 |
E1-4は、支援チーム内で支援の方向性を共有・検討しているとの回答が77.1%
はい | 201 |
---|---|
いいえ | 20 |
わからない・どちらともいえない | 72 |
未回答 | 3 |
未回答を除く合計 | 293 |
E1-5は、支援チームごとに、それぞれメンバーの役割が共有されているとの回答が68.6%
はい | 202 |
---|---|
いいえ | 13 |
わからない・どちらともいえない | 79 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
E1-6は、支援チームは、粘り強く関わりを試みているとの回答が68.7%
はい | 186 |
---|---|
いいえ | 18 |
わからない・どちらともいえない | 88 |
未回答 | 4 |
未回答を除く合計 | 292 |
E1-7は、支援チームは頻回訪問でケース宅の様子の変化を観察しているとの回答が63.7%
はい | 241 |
---|---|
いいえ | 11 |
わからない・どちらともいえない | 43 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
E1-8は、支援チームは、生活や外出が困難である原因をアセスメントしているとの回答が81.7%
はい | 241 |
---|---|
いいえ | 9 |
わからない・どちらともいえない | 41 |
未回答 | 5 |
未回答を除く合計 | 291 |
E1-9は、支援チームは、疾患管理の状況を把握するよう努めているとの回答が82.8%
はい | 208 |
---|---|
いいえ | 16 |
わからない・どちらともいえない | 71 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
E1-10は、家庭訪問時、近所や大家さん等、近隣住民から様子を聞き取る等の情報収集を行っているとの回答が70.5%
はい | 151 |
---|---|
いいえ | 38 |
わからない・どちらともいえない | 107 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
E1-11は、セルフ・ネグレクト状態等で健康状態の悪化が予測されるがケースが受診に応じない場合は、医師による往診を依頼し、在宅で診察を受けることができるとの回答が51%
E2. ケースの家族に対する個別支援
【目的・意図】
E2は、ケースの家族に対する個別支援活動に関する質問群である。
はい | 192 |
---|---|
いいえ | 24 |
わからない・どちらともいえない | 77 |
未回答 | 3 |
未回答を除く合計 | 293 |
E2-1は、支援チームは、家族を対象とした訪問支援を行っているとの回答が65.5%
はい | 225 |
---|---|
いいえ | 9 |
わからない・どちらともいえない | 61 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
E2-2は、支援チームは、ケースの現状に対して家族がどう捉えているかを把握しているとの回答が76.3%
はい | 251 |
---|---|
いいえ | 8 |
わからない・どちらともいえない | 32 |
未回答 | 5 |
未回答を除く合計 | 291 |
E2-3は、支援チームは、ケースと家族との関係性をアセスメントしているとの回答が86.3%
はい | 240 |
---|---|
いいえ | 7 |
わからない・どちらともいえない | 47 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
E2-4は、支援チームは、同居家族以外のキーパーソンの有無を確認しているとの回答が81.6%
はい | 96 |
---|---|
いいえ | 92 |
わからない・どちらともいえない | 107 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
E2-5は、包括担当者は、家族に対して、ケースとの関わり方に関する教育環境を整えているとの回答が32.5%
はい | 270 |
---|---|
いいえ | 2 |
わからない・どちらともいえない | 21 |
未回答 | 3 |
未回答を除く合計 | 293 |
E2-6は、家族は、包括や関係機関に直接相談できる体制と取っているとの回答が92.2%
はい | 265 |
---|---|
いいえ | 2 |
わからない・どちらともいえない | 28 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
E2-7は、サービス導入時の説明の際、可能な範囲で家族も参加しているとの回答が89.8%
E3. 地域住民等によるケースの生活支援や家屋や道路状況等の環境整備
【目的・意図】
E3は、ケースに対する地域住民の関わりや、閉じこもり状態を解消できる環境整備等に関する質問群である。
はい | 88 |
---|---|
いいえ | 41 |
わからない・どちらともいえない | 167 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
E3-1は、ゴミ出しや外出が困難な高齢者に対して、地域で助け合うことが大切であるという認識が根付いているとの回答が29.7%
はい | 100 |
---|---|
いいえ | 69 |
わからない・どちらともいえない | 126 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
E3-2は、生活や外出が困難な高齢者に対して、地域で助け合うシステムがあるとの回答が33.9%
はい | 40 |
---|---|
いいえ | 133 |
わからない・どちらともいえない | 120 |
未回答 | 3 |
未回答を除く合計 | 293 |
E3-3は、外出が困難な高齢者でも、移動しやすいような道が整備されているとの回答が13.7%
はい | 86 |
---|---|
いいえ | 95 |
わからない・どちらともいえない | 115 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
E3-4は、外出が困難な高齢者でも外出しやすいよう、様々な施設に駐車場が完備されているとの回答が29.1%
はい | 122 |
---|---|
いいえ | 74 |
わからない・どちらともいえない | 98 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
E3-5は、外出が困難な高齢者でも、買い物がしやすい仕組みや環境があるとの回答が41.5%
はい | 98 |
---|---|
いいえ | 80 |
わからない・どちらともいえない | 118 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
E3-6は、外出が困難な高齢者でも、病院にかかりやすい仕組みや環境があるとの回答が33.1%
E領域(活動):個別支援は概ね実施。日常生活の細やかな支援の在り方は今後検討。
本人の居住地に近い近隣住民のちょっとした手助けや、家族の本人への関わり方、道路や手続き上の利便性などの物理的環境は、本人が感じている、ちょっとした日々の生活のしづらさの改善に影響する。そうした観点から、閉じこもりは地域の健康課題という捉え方もできる。本調査では、本人に対する保健医療福祉的支援の体制や実施については6割~8割程の施設が実施されていたが、iADLへの日常的な支援環境については今後検討が必要な状況であった。
F. 【活動】集団支援を利用するための「入口」としての工夫
【本領域の目的】
高齢者が閉じこもり状態を解消するためには、個人や家族が抱える課題への支援だけでなく、自宅の外でも、地域住民や支援者との心地よい関係性や居場所があることが重要であると考える。
自宅外で社会的リハビリを行う場としては、集団支援活動の場が考えられる。例えば、デイケアやデイサービス、通所リハや地域サロンなどが想定される。
しかし、閉じこもり状態にある高齢者は外部に対して不信感を持っている可能性が高い。
そのため、集団支援活動の場に誘う際は、その「入口」の環境を丁寧に整え、慎重に進める必要がある。
以上から本領域は、集団支援活動の場への誘導に関わる一連の活動に関して、現状を伺うことを目的とする。
F1. なじみの関係を応用した、集団支援活動初回利用時の丁寧な関係づくりと迅速な導入、および交通環境の整備
【目的・意図】
集団支援活動の場に初めて参加する時は、ケースでなくても緊張が高まる場面である。そのため、自分がよく知っている「なじみ」の人と一緒に参加する時は、心強いと思われる。ケースが集団支援活動の場に初めて参加する時も、そうした「なじみの関係」の作用を活かすことが効果的な支援の一つと考える。
F1は、ケースが興味を持っている集団支援活動を把握し、その場に既に参加している方とケースが事前に関われる場を設定し、ケースが安心して集団支援活動に参加できることを目的とした、丁寧な関係づくりにおける一連の支援活動に関する質問群である。
はい | 114 |
---|---|
いいえ | 61 |
わからない・どちらともいえない | 121 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
F1-1は、ケースが初めて集団支援への参加時に既存のメンバーと事前に関わる場があるとの回答が38.5%
はい | 208 |
---|---|
いいえ | 16 |
わからない・どちらともいえない | 71 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
F1-2は、ケースが初めて集団支援への参加時に必要に応じ安心してその場にいられるよう意識的に関わっているとの回答が70.5%
はい | 230 |
---|---|
いいえ | 4 |
わからない・どちらともいえない | 59 |
未回答 | 3 |
未回答を除く合計 | 293 |
F1-3は、集団支援活動のスタッフは自ら挨拶をして参加しやすくなる関わりをしているとの回答が78.5%
はい | 222 |
---|---|
いいえ | 7 |
わからない・どちらともいえない | 65 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
F1-4は、集団支援活動のスタッフは新規参加者に対して仲間づくりを進めるために意識的に関わっているとの回答が75.5%
はい | 128 |
---|---|
いいえ | 48 |
わからない・どちらともいえない | 119 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
F1-5は、移動手段がない理由で集団支援活動に参加できない場合、集団支援活動の担当者と個別に検討しているとの回答が43.4%
F2. 継続的に集団支援活動に参加できる工夫
【目的・意図】
社会との関係性を整え、再び社会で活動できるようになるためには、集団支援活動の場で一定期間、社会的リハビリを行う必要がある。
そのため、なるべく継続的に参加できるよう支援を行うことが大切である。
F2は、そうした集団支援活動への継続的な参加を目的とした一連の支援活動について伺うことを目的とする。
はい | 131 |
---|---|
いいえ | 36 |
わからない・どちらともいえない | 128 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
F2-1は、支援メンバーは、ケースに対して途中脱落の可能性を定期的にアセスメントし、支援を行っているとの回答が44.4%
はい | 151 |
---|---|
いいえ | 14 |
わからない・どちらともいえない | 131 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
F2-2は、ケースが集団支援活動に欠席された時、支援メンバーは当日又は後日に声をかけているとの回答が51%
はい | 181 |
---|---|
いいえ | 6 |
わからない・どちらともいえない | 107 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
F2-3は、継続的な利用が難しいケースに対して、関係づくりを大切にしているとの回答が61.6%
はい | 198 |
---|---|
いいえ | 7 |
わからない・どちらともいえない | 90 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
F2-4は、集団支援活動の継続が難しいケースに対し、関係づくりを大切にしているとの回答が67.1%
F領域(活動):参加時は丁寧に対応。参加前や脱落予防への対応は今後検討。
集団支援の場においては丁寧に関わっている施設が7割を超えていた。しかし、集団支援に参加する前の関わりや途中脱落リスクへの対応等については、今後検討が必要な状況であった。
G. 【活動】生活の領域と人との関わりの範囲の、更なる拡大
【本領域の目的】
高齢者が閉じこもり状態を解消し、生活空間を更に広げるためには、特別な支援が設定されていない社会の場にも慣れていく必要がある。
そうした場に積極的に参加するための環境整備について、現状を伺うことを目的とする。
G1. 集団支援活動以外の交流の場の設定、「楽しい経験」を強化する関わり、収入を伴う社会活動
【目的・意図】
社会的リハビリを一定期間行った高齢者は、次のステップとして、集団支援活動以外の集団の場でも自由に交流できることを目指す。そのためには、自由に交流する場でも、参加して楽しかったという感情を共有するなど、参加による快の感情が強化されるような支援が求められる。これにより、生活範囲を広げるための準備性が高まり、本人の希望に応じて収入を伴う社会活動へとステップアップできる可能性も高まると考える。
G1は、上記にように自由に参加できる場、参加しやすさなどに関する情報提供、快の感情を強化するような支援、及び収入をを伴う社会活動へのステップアップを目指した関わりなど、一連の支援活動に関する質問群である。
はい | 138 |
---|---|
いいえ | 51 |
わからない・どちらともいえない | 107 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
G1-1は、住民による自主活動が、地域のどこでどのようなことが行われているかについて、地域全体に周知しているとの回答が46.6%
はい | 172 |
---|---|
いいえ | 36 |
わからない・どちらともいえない | 88 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
G1-2は、住民による自主活動を体験する機会があるとの回答が58.1%
はい | 227 |
---|---|
いいえ | 32 |
わからない・どちらともいえない | 37 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
G1-3は、直接参加しなくても、目的がなくても、その場にいるだけでも良い、ゆるいつながりができる場があるとの回答が76.7%
はい | 130 |
---|---|
いいえ | 56 |
わからない・どちらともいえない | 110 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
G1-4は、参加した高齢者が、楽しいと思えた体験を話してもらう場があるとの回答が43.9%
はい | 141 |
---|---|
いいえ | 58 |
わからない・どちらともいえない | 97 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
G1-5は、高齢者に、どのようなことをやりたい又は参加したいのかを話してもらう場があるとの回答が47.6%
はい | 66 |
---|---|
いいえ | 25 |
わからない・どちらともいえない | 205 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
G1-6は、高齢者は、地域で自分の役割を見出すことができるとの回答が22.3%
はい | 116 |
---|---|
いいえ | 67 |
わからない・どちらともいえない | 113 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
G1-7は、高齢者は、簡単な作業を担い、収入を得ることができる場があるとの回答が39.2%
G領域(活動):自宅外の居場所は概ね整備。本人が存在意義を感られる生活空間の拡大のあり方は今後検討。
個別に参加できる場は5割~7割強の施設で設定されていた。しかし、それを本人が参加してよかったと自認し次のステップにつながる支援や、自主活動を地域全体で把握する手段や、本人が居場所を確保するための支援へとつなげるなど、生活空間を更に広げる関わりについては、今後検討が必要な状況であった。
H. 【急変対応】状態悪化及びハイリスク状態の人へのタイムリーな支援
【本領域の目的】
高齢者は老化によって予備力が低下するため、体調が急変すると生命の危機に陥る可能性が高まる。
そのため、状態の悪化や急変に対応できるよう、平常時から体制を整えておく必要がある。
本領域では、閉じこもり状態にある場合及び社会的リハビリを進めている時など、いかなる状況でも体調に変化が起こる可能性を視野に、急変時の対応について現状を伺うことを目的とする。
H1. 急変時の把握、迅速な報告と対応
【目的・意図】
H1は、急変時の対応方法の事前周知、実行可能性、振り返りの場の設定に関する質問群である。
はい | 185 |
---|---|
いいえ | 40 |
わからない・どちらともいえない | 71 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
H1-1は、包括は、状態悪化及びハイリスク状態にある高齢者を把握した時の対応方法を、関係機関に周知しているとの回答が62.5%
はい | 227 |
---|---|
いいえ | 12 |
わからない・どちらともいえない | 55 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
H1-2は、急変の報告を受けた際,迅速に必要な支援と連携調整が実施できる体制にあるとの回答が77.2%
はい | 180 |
---|---|
いいえ | 38 |
わからない・どちらともいえない | 77 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
H1-3は、急変対応後、対応上の問題点や地域の課題等について関係機関と共有、検討する場があるとの回答が61%
はい | 40 |
---|---|
いいえ | 171 |
わからない・どちらともいえない | 83 |
未回答 | 2 |
未回答を除く合計 | 294 |
H1-4は、急変状態であるとはどういう状態のことをいうのかを学ぶ研修会が、医療系以外の関係職種及びボランティア等を対象に開催しているとの回答が13.6%
H2. 平常時の体制整備:退院前後の療養支援、看取り、情報連携の在り方
【目的・意図】
H2は、平常時の体制整備として、退院前後や看取りなどに関する相談窓口の設置や紹介できる環境の整備、およびタイムリーな情報連携ができる体制の整備などに関する質問群である。
はい | 188 |
---|---|
いいえ | 55 |
わからない・どちらともいえない | 50 |
未回答 | 3 |
未回答を除く合計 | 293 |
H2-1は、包括は、退院前後で継続的にケアを行うため多職種(医療・介護等)での研修会等が開催されているとの回答が64.2%
はい | 120 |
---|---|
いいえ | 103 |
わからない・どちらともいえない | 72 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
H2-2は、包括は、自宅での見取り等に関して、住民に情報提供を行っているとの回答が40.7%
はい | 141 |
---|---|
いいえ | 89 |
わからない・どちらともいえない | 65 |
未回答 | 1 |
未回答を除く合計 | 295 |
H2-3は、高齢者や支援者が看取りについて気軽に相談できる窓口を設置するなど環境を整備しているとの回答が47.8%
はい | 72 |
---|---|
いいえ | 115 |
わからない・どちらともいえない | 109 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
H2-4は、看取りに関連して、遺産相続などの経済的や宗教的等のサポートを受けられる環境を整備しているとの回答が24.3%
はい | 122 |
---|---|
いいえ | 90 |
わからない・どちらともいえない | 84 |
未回答 | 0 |
未回答を除く合計 | 296 |
H2-5は、多職種間で日常的に情報提供等を行う際、ICTなどを活用し、情報連携の質を担保しているとの回答が41.2%
H領域(急変対応):急変対応は概ね整備。看取りを視野に入れた対応は今後検討。
急変が報告されると即時に対応する体制は約7割の施設で整えられていた。しかし、急変を早期にキャッチするための情報提供については、今後検討が必要な状況であった。また看取りについても、どのような相談事があるのか、どのような事であれば相談してもよいのか等、相談しやすい環境整備について検討する余地がある状況であった。
調査内容の適切性
とてもある | 29 |
---|---|
ややある | 134 |
どちらともいえない | 101 |
あまり興味がない | 14 |
全く興味がない | 4 |
未回答 | 14 |
未回答を除く合計 | 282 |
調査票の内容について興味がとてもある10.3%、ややある47.5%
とてもそう思う | 25 |
---|---|
ややそう思う | 113 |
どちらともいえない | 111 |
あまりそう思わない | 29 |
全くそう思わない | 3 |
未回答 | 15 |
未回答を除く合計 | 281 |
調査票は高齢者の閉じこもり予防に役立つととてもそう思う8.9%、ややそう思う40.2%
とてもそう思う | 28 |
---|---|
ややそう思う | 127 |
どちらともいえない | 110 |
あまりそう思わない | 11 |
全くそう思わない | 2 |
未回答 | 18 |
未回答を除く合計 | 278 |
調査票のA・B・C領域について適切だと、とてもそう思う10.1%、ややそう思う45.7%
とてもそう思う | 21 |
---|---|
ややそう思う | 127 |
どちらともいえない | 111 |
あまりそう思わない | 10 |
全くそう思わない | 3 |
未回答 | 24 |
未回答を除く合計 | 272 |
調査票のD・E・F・G領域について適切だと、とてもそう思う7.7%、ややそう思う46.7%
とてもそう思う | 27 |
---|---|
ややそう思う | 127 |
どちらともいえない | 103 |
あまりそう思わない | 12 |
全くそう思わない | 3 |
未回答 | 24 |
未回答を除く合計 | 272 |
調査票のH領域について適切だと、とてもそう思う9.9%、ややそう思う46.7%
1) とても興味がある | 7 |
---|---|
2) 興味がある | 84 |
3) あまり興味がない | 172 |
4) 興味がない | 33 |
合計 | 296 |
このようなプロジェクトに参加したいかについて、とても興味がある2.4%、興味がある28.4%
2000年に介護保険制度が導入され23年余りが経過した。この間、要介護認定者は約218万人から682万人(2020年度)に、介護給付費は年間3.2兆円から10兆円(同年度)に、介護保険料は月額の全国平均が約3,000円から6,014円にと各項目の数値はすべて右肩上がりに上昇し、介護予防が重要な課題となっている。
地域の実情に応じた効果的・効率的な介護予防事業を推進するためには、効果的な評価を行い、PDCAサイクルを展開することが重要である。本来であれば活動内容とアウトカムの関係を評価する必要がある。しかし、現在プロセス・ストラクチャー・アウトカムの評価はそれぞれ別々に評価するにとどまっている。それぞれの関連までは評価出来ていないため、PDCAサイクルの効果的な展開が困難であるのが現状である。そうした中、プログラム評価が注目されている。
体系的な評価研究(Systematic Evaluation Research)は20世紀に入って北米を中心に世界各国に広まった。1960年代には連邦議会は莫大な社会サービス予算の効果を検証し、政府の説明責任を追及する手段として評価を活用した。1970年代にはプログラムのマネジメントを強化する手段としてプログラム評価を活用する動きがみられた(Rossi著大島訳,2012、大島,2016、源,2016)。このように、海外では社会サービス事業の成果をプログラム評価を用いて評価したり、マネジメントを行うことが標準的手法となっている。国内では、国際支援活動や地域精神保健福祉の分野等の一部でプログラム評価の導入が試みられ、成果も報告されつつある(大島,2016)。
本研究は、対人サービスを行う福祉等の他領域の評価方法を、地域看護学領域にも導入を試みるという位置づけにある。日々の活動の中で評価し、成果として示し、かつPDCAも展開できる評価文化を醸成することで、日々奮闘されている現場のみなさまのお力になれればと願ってやまない。
本調査の調査票作成にあたり、ご意見・ご助言をいただきまし行政機関および地域包括支援センターの皆様に心より感謝申し上げます。また本調査にご協力いただきました、全国の地域包括支援センターの皆様に深謝いたします。
*本報告書は、2019~2022年度,JSPS科研費、基盤研究(C)「プログラム評価理論に基づく、介護予防プログラムの評価理論及び評価体制の構築」(研究課題番号:19K11220,研究代表者:下園美保子)の成果の一部である。